省エネ・創エネ お役立ちコラム
2020年08月24日太陽光発電
法人が太陽光発電を設置した場合の事業税について
【太陽光発電事業を開始したら】
太陽光発電事業に係る売電収入については、法人事業税の計算が独特です。しかも、売電以外の事業を行っている場合には、計算が複雑になります。以下では、中小企業が太陽光発電事業を開始した場合における事業税の取扱い及び留意点について説明します。
【税額計算の方法】
太陽光発電装置を設置し、実際に売電事業を行っている法人は電気供給業に該当し、法人事業税は、他の事業に適用していた所得割(注)ではなく、収入金額をベースとした収入割により申告を行うことになります。収入割の課税標準である収入金額は、収入すべき金額から一定の金額を控除した金額であり(以下計算式)、税率は0.9%(中小企業など小規模法人)です。
課税標準となる収入金額 = 収入金額 - 控除すべき金額
(注)外形標準課税の対象法人(資本金1億円超)については、所得割、付加価値割、資本割の3つの要素で計算します。
【他の事業と兼業している場合の税額計算】
太陽光発電事業と他の事業を兼業している場合には、太陽光発電事業と他の事業に係る税額を別々に計算して、その税額の合計額を申告します。つまり、他の事業(所得割)と太陽光発電事業(収入割)を区分して課税標準額及び税額を計算する必要があります。他の事業(所得割)の課税標準となる所得金額を計算するためには、他の事業と太陽光発電事業の損益を区分して把握しなければなりません。具体的には、損益計算書(収益及び費用)及び法人税申告書別表4(加算及び減算)の各項目を、他の事業と太陽光発電事業に区分し、他の事業に係る所得金額を計算することになります。なお、両事業に共通する経費は売上金額等の妥当な基準により按分計算を行います。
【太陽光発電事業が軽微な場合(特例)】
太陽光発電事業が、主たる事業に比べて社会通念上独立した事業部門とは認められない程度に軽微なもの(注)である場合には、他の事業に含めて事業税を計算することができます。
(注)太陽光発電事業の売上高が従来の事業の売上高の1割程度以下であり、かつ、事業の経営規模の比較において他の同種類の事業とつりあいを失しないもの。(特例)
【令和2年度税制改正】
令和2年度税制改正において、電気供給業のうち、発電・小売電気事業に係る法人事業税の課税方式が見直されました。
これにより、令和2年4月1日以後に開始する事業年度から、小売電気事業及び発電事業に係る法人事業税の額は、資本金1億円超の法人は、収入割額、付加価値割額及び資本割額の合算によって、それ以外の法人は、収入割額と所得割額の合算額によることとなりましたので注意が必要です。
【さいごに】
法人が太陽光発電を設置する場合、優遇税制が受けられるメリットがありますが、太陽光発電事業に係る法人事業税が独特であり、他の事業と兼業する場合には税額の計算が複雑になります。法人が太陽光発電を設置し電力を供給する場合には、事前に専門家に相談し、法人事業税の計算方法について確認することをご検討ください。